七十年の時空を超えて
「百通のラブレター」

ありがとうございます。

それは、十年前の平成24年3月25日の晩に
次姉が、「父から母へ、結婚前の手紙が百通位あるらしいよ」と言いました。
母がおもむろに木箱からの父の筆跡の封書の束を目の当たりにして、びっくりしました。

その日は父の通夜で、お客様がお帰りになり四人の子供達夫婦等が集まっていた時でした。
実直な父は昭和二十年五月に特攻隊に志願、既に飛行機もなく訓練に明け暮れていたそうです。
戦後に、十人の兄弟・姉妹がいる大家族に嫁いできた母とは、
百通を超える手紙のやりとりの末、大恋愛で結婚したのだと改めて感じました。
今市の両親からは苦労するのが目に見えていたので大反対されたのは当然だったと思います。

当時は、「手紙」を郵便か友を介しての手渡し位しか手段はありませんでした。
今時のスマホで、メールや写真・動画のやりとりが出来るとは、夢のまた夢だったと思います。
正に七十年の時空を超えてやって来ました。

母が元氣なうちに本にしようとの声が上がり、
手紙の整理から文字入力を手分けし、子供達四人の家族から写真と感想文も集め始めました。

それから十年。やっと令和3年夏に発刊するところまできました。
コロナ禍が明けたら、改めて母の卒寿と出版のお祝いをしたいと考えております。
「元氣が一番!」マスクなしで笑顔で逢える時を楽しみにしております。

全てに感謝 阿部真一

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