印刷における「水」の役割

 毎日暑い日が続いていますが、熱中症にならない様、水分補給をして過ごしたいものです。
さて、印刷には「水」が欠かせません。オフセット印刷では、湿し水を制す事が非常に大切です。

1 PH値

湿し水の性質はPH値とその成分によって決まりPH値が小さくなるほど酸性の性質が強く大きくなるほどアルカリ性となります。

2 湿し水の役割

非画線部に着いてインキが非画線部に乗らない様にします。非画線部の親水被膜が弱く成らない様に常に親水被膜を強化します。エッチ液、IPA等使用しインキローラー上でインキの中に取り込まれ、エマルジョンを形成し、これによってインキの転移性を良くさせます。非画線部を薄い水膜で均一に覆い不感脂化を維持しインキが着かない様にしています。

3 水とインキのバランス

水の量が必要以上に多くなるとインキは乳化と言う現象を起こしやすくなり浮き汚れや乾燥性の低下などのトラブルを引き起こし、汚れたり、光沢の無い印刷物になってしまいます。反対に水の量が少ないと地汚れなどのトラブルを引き起こし、結局使い物にならない印刷物を作ってしまいます。水とインキそれぞれの表面張力の問題、原水のPHの問題、紙の問題、温湿度の問題など諸要素は山積みですが、PS版の版面に形成されるミクロン単位の薄膜により水はインキをはじき、インキは水をはじきながら印刷される絶妙なバランスを保って成り立っています。

4 湿し水の管理

エッチ液の選択、濃度管理の他に湿し水循環装置の保守管理が特に大切です。

★版面温度を適切に保つ(25〜27℃)為には湿し水の温度を正しく管理する事が必要。循環タンク10〜12℃。水舟15〜17℃。

以上、水の大切さを理解し、湿し水の交換、フィルターの掃除等、メンテを定期的にやる事で良い製品作りに取り組みます。

製造本部 M.K

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