刷り出しに立ち会うということ

先日、久しぶりに印刷の刷り出しに立ち会う機会がありました。

宇都宮市内にあります出版会社様から県内在住の画家の方が作品集を出版されるとのことでご依頼をうけ弊社で印刷・製本の仕上げまでをさせて頂きました。

過去にも水彩画や色鉛筆で描かれた作品集や絵本などの発刊のお手伝いをさせて頂きましたが今回は初めての油絵でした。

水彩画や色鉛筆で描かれた作品はサイズが大きくなければスキャナーでスキャニングして絵を画像として取り込む事ができますが、油絵ですと表面に凹凸もありスキャナーで取り込むことができず、一度カメラマンにお願いし露出を変え何カットか撮影をします。

油絵ですから表面は平らでないため角度によっては陰影もつき色合いも変わってきます。その画像を印刷前にスキャニングオペレーターが実際の油絵を見ながら調整するのが印刷前の大事な工程となります。今回の油絵は特に大きく2m近いものもあり、その作品を弊社に持ち込んでの作業でした。

色補正の作業では、作家の方にも立ち会って頂きモニターと作品とを見比べながらの調整でしたが、インクジェットで出力しますとモニターと合わないことも多々あり、とても大変な作業工程でした。

数週間かけ約70点あまりの作品の色味を調整し下版となりました。いよいよ印刷の工程にはいります。今回はマットコート紙に印刷をしますのでインクが乗っているところは多少の艶は出ますが、光沢紙にインクジェットの顔料を吹き付けたものとマットコート紙にインクを乗せるのとでは仕上りに違いが出てしまいます。何よりも大変なのはB2サイズに近い用紙に色合いの違う絵が4点も同じ紙面にあることです。

インクの流れが有る為、色味の違う上下に並んだ絵を合わせるのは困難な作業で、例えば赤が基調の絵と青が基調の絵が並んだ場合、インクジェットの色校正紙にどちらかを合わせ、もうひとつは極力近づけなくてはならないのですが、これが合わないのです。

刷り出しも画家の方に立ち会っていただきました。インクジェットに合わせるのも当然ですが、描かれた画家の方に、より実際の作品に近いかを確認いただきました。

困難を極めた作業は、通常の倍以上の時間をかけ印刷をし、結果製本所さんから作品集を受け取った作家の方は仕上りに大変喜んでおり満足いただけました。

今回の仕事を通し晃南印刷が印刷のプロとして更にステップアップできたのなら本望です。

営業部 大島 義智

 

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