注意を要する表現
『明鏡国語辞典』(大修館書店)は、誤用に詳しい辞書と言われています。
その第三版(2020)からいくつか拾ってみました。
○味わう
「味あう」「味あわない」「味あわされる」とするのは誤り。
正しくは「味わう」「味わわない」「味わわされる」。
○致す
「させて下さい」「させていただく」を丁重にいう気持ちで「致させて下さい」「致させていただく」などと使うのは、標準的でない。「×後でご報告致させていただきます」
○できる
謙譲語は自分側の行為について言うものなので、他人の行為を述べる尊敬語として使うのは誤り。「お[ご]…になれる」「お[ご]…になることができる」などが適切。
「×会員であればご利用できます→○ご利用になれます」「×(お客様は)ご乗車できません→○ご乗車になれません」
○耳障り
聞いていて不快に感じること。※「耳ざわり」は、耳に障る(=害になる)という意。
これを、「耳触り」と解し、「耳ざわりがいい(=耳に心地よい)」のように使うのは、本来は誤り。「目障り」も同様。
○れる
⑴「見られる」「食べられる」「来られる」などの形が標準的だが、「見れる」「食べれる」「来れる」のように「れる」を付けて使うこともある(ら抜き言葉)。
日常会話では多く使用されるが、書き言葉では抑制される傾向がある。
⑵可能動詞にさらに可能の助動詞「れる」「られる」を付けた、「履けれる(履ける+れる)」「書けられる(書ける+られる)」の類は誤り。
「履ける」「書ける」(可能動詞)、または「履かれる」「書かれる」(履く[書く]+られる)が正しい。
デザイン部 中里
2022年9月12日|校正ノート